■7つ道具―社内起業家■

 

トライバルチームを活かす対話の必要性

トライバルチームを活かすためには対話がどうしても必要になります。

それは、トライバルチームが本質的に対話の量によってその効果を高める性質を持っているためです。

まず、対話とは簡単に説明すると相互に情報を交換し合うことです。その情報交換は社内の役職などに関わらず並列的にやり取りが行われます。

ご理解いただきたいのはトライバルチームと従来型組織では、対話の目的が全く違うという点です。

トライバルチームはお互いのメンバーが対話を通して新しいアイデアや意思決定を行っていくのに対して、従来型組織は意思決定はトップが行うため基本的に上からの指示・命令または下からの報告・連絡・相談になります。

もっといえば、従来型組織を最大限効率よく運用するためには「対話」を行うと雑情報が大量に生み出されることになるため、むしろ不要で邪魔なものになります。

では、なぜトライバルチームでは対話が必要になるかと言えば、新しいアイデアを生み出す目的だけではなく、組織の性質上メタ認知を生み出す必要があるからです。

メタ認知とは「自分が何を考えているのか?どう行動しているかを自分で認識すること」なのですが、簡単に言ってしまえば自分が行っていることを客観的に俯瞰(ふかん)してみるということです。

たとえば、普段ご飯を食べているときに「おいしいな」とか周囲の人との会話が「おもしろいな」と思うことはあっても、「あっ。今自分はご飯を食べているな」とは思わないのが普通です。

ご飯を食べている自分自身に対して「あっ。今自分はご飯を食べているな」と客観的に理解することがメタ認知です。

トライバルチームの場合、自分を含むチームの役割、行動特性がメンバーの頭の中に入っている状態であればあるほど、チーム内のつながり=ネットワークが活性化し新しいアイデアや創造的な活動が可能になります。

イギリスの人類学者、進化生物学者ロビン・ダンバーによれば、人間が顔と名前の区別がきちんとつけられる人数はおおむね150人前後だとし、それ以上の人数が組織にいる場合にはメンバーの一体感が失われ、2つ以上の派閥に分かれやすいと述べています。

150人と言えば、中小企業ではぎりぎりの人数ですよね。

ということは、多くの企業で派閥争いによりどうでもよいことに人的エネルギーを浪費しているのもうなずけます。

トライバルチームの最大のメリットはつながり=ネットワークが柔軟で新しい創造的なアイデアや行動が可能なことですが、新しい未体験の問題を解決するには、メタ認知とフィードバックを繰り返せる一体感のあるチームだけです。

だからこそ、トライバルチームを運用してくためには対話というメンバーの一体感を生み出す必要があるのです。