「雇い止め法理の法制化」とは?


 

今回の改正労働契約法の目玉は、「雇い止め法理の法制化」です。

基本的には今まで雇い止めした時のトラブルがたくさんありました。様々な判例が出てきてしまったのです。これは、「その時その時の裁判で決めていると大変だから、そろそろ法制化しませんか?」という流れで形になりました。

まず、どういう場合に、「これからは基本的には期間の定めの無い契約と同じですよ」となっていくかということについて。一つは実質無期雇用タイプ、実質無期契約タイプと言われています。どんな人かというと、これは「東芝柳町工場事件」という判例がありました。簡単に言うと、いい加減に更新の手続きをしている会社。「山田くん、悪い悪い契約更新だったね、じゃあ後でちょっとサインしといてね、契約更新超えちゃったよね」、こういうことをずっと繰り返し繰り返しやっていました。これは無機契約と実質的に同じです。なので、これからはちゃんと契約の更新をする場を正式に持ってください。

あと、労働条件通知書を提出するだけではなく、毎回毎回新しい契約書を作り変えて渡していく。そこまでやれば雇い止めがOKになるかもしれませんよというところですね。

また、今の契約社員の方々にしっかりとお話をしなくてはいけないということを管理職に心得ておいてほしいという、期待保護タイプです。

これは、日立メディコ柏工場事件という判例。「○○さん、契約がウチの会社では2ヶ月更新なんだけども、このまま何も無ければ更新するから大丈夫だよ」「本当ですか所長さん」「大丈夫大丈夫、普通ウチの会社では全員、何も無ければ更新しているんですよ」「そうですか」そんなことを言っていましたが、更新のタイミングでプロジェクトが終わってしまった。「もう、あなたはすみません雇い止めです」「えっ、所長さんだって雇用してくれるって言ってたじゃないですか」。これは禁止です。

管理職の方、社長さんが有期労働契約の方々に「普通だったら、いつもどおり働いていたら大丈夫だよ」こういうことを言ってしまうと、期待してしまいます。そうしすると、ほとんど正社員の解雇の条件と同じになってしまいます。解雇権濫用の法理を推定すると、類推適用するということで、禁止されています。