「自律分散型」組織においては、これまでの「上司が部下を評価する」という評価手法ではなく、「関わったすべてのメンバーが集まって話し合い、自分の報酬を決定する」ことが最も納得感の高い方法になります。ここでは、いわいるノーレイティングの手法を用い、A,B,Cといった、5段階評価や7段階評価といったランク付けは行いません。多様な仕事を行い、多様な面から組織に貢献しているメンバーを5段階や7段階に区分して評価することはあまりにも現場の実感とかけ離れていているからです。ただ、現実的には報酬原資は決まっているので、それをどのように分配するかは決めなければなりません。そのために活用するのが「報酬分配会議」になります。チームのメンバーに「事前確認シート」に基づいて、このシートに沿って振り返ってもらい、会議に臨むようにしてもらいます。

1.今期の担当業務
2.チーム・組織全体への具体的貢献・成果
3.他者から受けた支援
4.その他、チームのメンバーに伝えておきたいこと

会議は、まずリーダーが今期のチームとしての結果を発表することから始めます。これは具体的な数字など、できるだけ客観的事実をのべるようにし、リーダー自身の主観的な評価(例えば、●●さんが特にがんばってくれたなど)はこの時点では話さないようにします。
次にメンバー全員(リーダーも含めて)が準備していた1~4の内容を発表します。特に時間を割いて話してもらいたい内容は2です。話全体の9割以上をこれに割いてもいいでしょう。周囲のメンバーは、できるだけ口を挟まずに発表者の話を聞くようにします。
全メンバーが話終えると、一度メンバー全員がどのような貢献であったかしっかりと考え、貢献度全体を100として、各メンバーの貢献点数をつけていきます。この間、できるだけ時間制限などはせず、また、周囲と話し合うことなく、自分自身で考えてもらいます。例えば、メンバーが5人いた場合、Aさん50、Bさん30、残りの3人は10ずつ、といったように合計で100になるように分配します。そして、その理由も述べることができるようにします。
全メンバーが個人としての評価を終えると、最後にそれを発表しあい、全体で納得できる分配割合を決定します。この時、各メンバーはできるだけ率直に自分の考えをのべなければなりません。そして全体の総意として分配を決定すべきです。最後はリーダーが決定するというルールにしていると、どうしてもリーダーに頼ってしまいます。全メンバーが決定者になることが重要なのです。
なお、上記手法は、賞与を決定する際の具体的手法になります。賞与原資を100として、各メンバーに分配する手法です。年俸や月給を決める場合は、100を分配というやり方ではなく、原則として現状の報酬をベースにした昇給原資の分配が基本的な検討事項になります。ちなみに自律分散型組織において月額給与は、任されている担当役割に応じた「実力給」を基本に考えるべきですが、生活を維持していくための「家族手当」や一定の「年齢給」などを組み合わせることは合理的であり、その前提で社員一人一人が自分の働き方を選択できるようにすべきです(例えば短時間勤務など)。

(2019年2月号 執筆者:畑中義雄)