台湾で見えてきた日本の「はたらく」の特異性


6月末から4日間、弊社のメンバーおよび普段から仲良くさせてもらっている
社労士の仲間と一緒に台湾に行ってきました。

今回の一番の目的は、弊社の顧問先の商社の現地法人に訪問し
台湾の中小企業での実際の働き方を見てくるということ。

訪問した企業は、台北から新幹線で30分ほどの新竹という
場所にありました。

 

日本にもよくあるような新しく整備された
工業団地といった感じの町です。

ビルの一室にあったその事務所は、総勢15名ほどの社員がいて
一見したところ、日本にもよくあるような事務所に見えました。

日本人の支社長さん、そして、台湾人の現地マネージャーの方に
仕事の内容や働き方のお話を聞き、ディスカッションした後
現地スタッフの方も一緒に食事にも行かせていただきました。

まず、日本の働き方と明らかに違うのは
「残業をしない」「休日出勤をしない」
ということが徹底されているということ。

サービス残業なんて、もってのほか!というか、
そんなこと誰もやらない、ということです。

有給休暇もしっかりとるし、そのあたりのメリハリは
かなりきちんとしているようでした。

また、仕事が終わってから職場の仲間で一杯のみにいくということも
まったくないとのこと。

職場の仲間で、懇親会などがないわけではないとのことですが
そういうことは、前もって予定された行事として行うのであって
上司から「どう?今日行ける?」などというのは想像もできない
そうです
(これって、それだけでパワハラになるんでしょうね)

それと、もうひとつ特長的だったのが女性がとにかく
元気で、活躍しているということ。

台湾では共働きが当たり前で、育休などの制度も整備されていますが
けっこう早く復帰してくる人も多いとか。

実際、訪問先の事務所も女性が6割であり、先月育児休業から
復帰したばかりの方も元気に働いていました。

共働きなので、平日は家で食事をつくる習慣がなく、
家の近くの食堂などに家族が集まって夕食をとって家に帰るか
お弁当などを買って食べることが多いそうです。

確かに、日本では「働く女性が家事や育児をしながら大変だ」という
話をよく聞きますが、そもそも共働きなら、
平日は家で食事はしないというのは合理的だなとも思いました。

日本人とは顔も似ているし、日本統治時代が50年あるだけあって
町の雰囲気や建物は日本ぽいものも多く(郊外の温泉にもいったのですが
ここはまさに日本の熱海のような風景)親しみがわく国なのですが
こと「はたらく」に関しては、かなりドライというか
欧米型のような気がしました。

実は、海外研修旅行は、2年に1度のペースで行っており
これまで

・デンマーク
・シンガポール、マレーシア
・タイ
・台湾

と行ってきたのですが、日本のように(よく言えば)家族的な感覚で働いて
いる国はどこもありません。

現地に同行してくれた、世界の駐在地にたくさん出張経験のある
取締役が
「日本みたいな働き方の感覚が世界では少数派。
仕事終わりに飲みに行こうなんて感覚があるのは、日本と
韓国ぐらいかなあ」
と言っていました。

そうなんです。
いい意味でも悪い意味でも、日本的、家族的な企業風土、働き方というのは
世界では「異常」なんですね。

これは、過去4回の海外研修でも(すべて中小企業の現場に潜入して話を
聞いてきています)共通して感じるところです、

そして、いよいよ日本にも「働き方改革」の波がやってきました。
法律にまでなってしまいましたね・・・。

「過労死」なんて言葉は日本にしかないとか。
真剣に日本も変わっていかないといけないことは確かです。

ただ、世界で「異常」ということは、逆に「貴重」でもあるかも。

グローバルスタンダートにはついていきつつも、
日本的経営、日本的働き方の良さは残していくべきではないでしょうか。
少なくとも、これだけ経済発展した日本人の働き方が
すべて間違いだったわけではないでしょうから。
それにしても、個人的には「ちょっと一杯」がない世界はさびしい・・・。