●コラム● 同じ職場なのに、個々の社員によって”仕事の捉え方”が違う?
何か新しいプロジェクトなどを立ち上げた場合、やる気のある社員とやる気のない社員の違いがくっきりと分かれてしまうことが良くあります。
これは、プロジェクトに限らず普段の仕事をしている際にもよく見られる事態で、会社全体という規模はもちろんのこと、小さな職場単位でも、そこに属している社員同士の意識が全然違うということを目の当たりにした経験がある人も少なくないはずです。
そのような状態の捉え方の一つとして、有名な「マズローの欲求五段階説」を頭に入れておいていただくと良いでしょう。
簡単に言ってしまうと、「安全欲求」「生存欲求」など5段階欲求の下部に位置する欲求が顕在化している人は不平不満を感じやすく、「自己実現」「承認欲求」など5段階欲求の上部に位置する欲求が顕在化している人は前向きでモチベーションが高いのです。
あらためて職場を見回していただけると納得できると思うのですが、不平不満ばかりいう社員が言っていることは、
「人間関係が悪い」→集団欲求
「労働時間が長い」→安全欲求
「給料が少ない」→生存欲求
など、”目に見える状態”を指しており、それらは比較的低い欲求段階に結びついていることが分かります。
逆にモチベーションの高い社員が言っていることは、
「やりがいがある」→自己実現
「成長の実感がある」→承認欲求
「お客様から感謝される」→集団欲求
など、目には見えにくいですが高い欲求段階に結びついていることが分かります。
どんなにモチベーションのある人であっても、不満がゼロというわけではありません。逆に言えば、「不満がある=モチベーションが上がらない」というわけではないということです。
このことはハーズバーグの二要因理論でも説明されていて、どんなに不満の原因を取り除いたからと言っても、その時に不満は解消されますが、それがモチベーション向上にはつながりません。
むしろ、大切なのは「モチベーションを維持する」ことで、そのためには、不満を取り除くことではなくより、高みの欲求段階、すなわち「自己実現」や「承認欲求」に意識を向けてもらう、ということが大切なのです。
※これらの話は、トヨタ系ディーラーの中でも顧客満足度が高く表彰されESの高い組織として知られているネッツトヨタ南国の人財開発室長 大原光泰氏と弊社矢萩との対談DVDの中で詳細にお話しているので、ご興味のある方はそちらも参照してください。