評価で知るのではなくピアプレッシャーで自分の評価を知る(市場規範と共同体規範)


 

これからの時代は、市場規範と共同体規範という二つの規範のバランスが変化します。

アメリカの実験で、毎回毎回保育所に子どもの送り迎えをするお母さんのお迎えが遅いので、子どもを迎えに行く時間が遅れた場合は、500円の罰金を支払うという制度をつくったそうです。それによってお母さんたちはしっかりと時間通りにお迎えに来るようになったかというと、実は逆に遅刻する人が増えたといいます。500円の罰金を支払ったら遅刻してもいいのか、じゃあ500円の罰金を払って私は堂々と遅刻しますよ、というようになってしまいました。これからの時代は一体どうなるかというと、市場規範と共同体規範というに軸があって、この共同体規範という感覚が高まってきているのではないかと思います。例えば、友人が地元で一生懸命や頑張っている様子をフェイスブックで見たら、「頑張っているな、よし、俺も頑張ろう」とういうような、共同体的な規範となる。これをピアプレッシャーといって、ある意味での同調圧力のことです。悪い共同体にいれば、悪い空気に染まってしまいます。しかし、良い共同体の中にいれば、自分自身をどんどん高めていく。これを組織の中に入れていく。それは単に人事評価や人事制度を回してお金を分配してそれで終わりという会社の戦略を回すのではなくて、これからは共同体規範をどう作っていくのかという点を重視したこれまでと違う人事制度が必要になります。内的な動機をどのように高めるのか、良い仲間をどのように作るのか。良い仲間とは、別に会社の仲間だけではなくて、お客様も含めてです。お客様と一緒に世の中のため、地域のためになるよう、一体どんな商品を作っていくことが出来るのか、業界全体でどういうことができるのか、このようなことを、いかに自分自身が考え、会社の中に取り入れたり、また気づきを与えるような行動を示していくことが必要なのではないかと思います。

私のありたい姿を描く、思考や行動特性を身に付ける。そのためには内発的な動機を高めていかなければいけません。大人の成長のように、1人では作れません。共同体的規範の関係性の中で磨かれていくのです。