限定正社員制度導入フロー


 制度導入のスケジュールについて。だいたい最初は「現状分析」から入ります。

導入するにあたってのポイントというのは、会社の中で非正規に関する問題について、実際どのような問題が起きているのか、その辺りをしっかりとヒアリングして、その問題を解決するために限定正社員制度を導入する。「人事考課制度をどうするんですか?または賃金の職務格差の問題をどうするんですか?」という質問がよくあがりますが、社内の規定に最終的には落とし込んで、社員の発表会を実施する。こういう流れになっていきます。長さはそれぞれですが、だいたい半年から10ヶ月ぐらいかかります。約50%の会社で専門職制度があったり、総合職と一般職制度があったりします。でもなかなかトラブルが絶えません。また、あまり社員に詳しく内容について説明をしていません。規定も穴があり、抜けているところがたくさんあり、これだとトラブルになりがちです。

これから無期転換社員の受け皿としてこの限定正社員制度を導入するのであれば、このあたりをしっかりとこれから作り変える必要があります。

今関わっているお客さんに、埼玉県で30店舗ぐらい展開している美容室があります。埼玉県限定ですね。自宅から自転車で行ける1店舗だけをやっていたBさん、この人は社長に「悪いけど一駅向こうの新しい店舗の方に移ってくれないか」言われました。そうしたら、「いや、私ちょっと無理ですよ」と言われてしまいました。「えっなんで?」「いや、新しいところに行くとまた新しい人間関係を作らなきゃいけないし、今自転車で行けるので。電車で行くのも車で行くのもあまり好きじゃない、私は嫌です」となりました。

それを聞いたもう一人の社員Cさんは、「なんでですか、私は隣町の店舗も行ったし隣の隣の店舗も行ったし、もちろん地元の店舗も行ってますけど、なんで私とあの人の給与が同じなんですか?おかしいじゃないですか」と。「これはどうしようかな」と社長も困ってしまいました。今まで、一応限定正社員みたいな一般職制度がありましたが、全然機能していませんでした。

先程のモスバーガーみたいにJコースがあれば、「じゃああなたはJコースですね、自宅から近い1社を限定であなたは勤めてください、その代わりエリアコースの人とは5%ぐらい違いますけどいいですか?」「わかりました、私はこの1店舗だけで十分です、これでやります」このような形で、どういう問題があるのかというのをしっかり会社の中で見ていくことが大事です。

では導入にあたってのポイントどういうところにあるのでしょうか。まずは労働条件の明示。つまり「どんな区分を設けたらいいんですか?」という問いに対して、限定正社員の中には、一つは勤務地限定、二つ目は職務限定、三つ目は時間限定。これが三つのだいたい大きなコースになります。この三つのコース中にも更に区分を設けている会社もあります。先程のように、勤務地だったらJコースだとかAコースとか、日本全国だったらNationalなのでNコースなど、多様なコースを選択できるように設けておくこともできます。