リーダーの為の組織開発ワークショップ ~ヒューム論からみる、多様性と共感の統合~


今日は、お世話になっている会社さんの人事制度作成に合わせての
リーダーシップトレーニングです。
多様な時代のリーダーシップをテーマに今回で4回目のワークショップ。
今回は弊社メンバーの梅津さんによる講義。

まず、ワークショップの冒頭にヘリウムの輪というワークをやってもらいました。
この輪っかをチーム全員で一本の指で支えて目的の対象物に通すという単純なゲーム。
ただし、一人でも輪っかの縁から指が一本でも離れたらスタートからやり直し。

さて、
幹部の皆さんに何分でできるとおもうか?と問いかけたところ
まあ、5分ぐらいでしょうと?

さて、実践!
あれ、指はなれた!
また最初から!
速すぎるよ!
今度はこっちが遅すぎると5分は、とっくに経過?

そのうち、腰が痛くなっちゃうね。
もっと息を合わせないとだめだよ!
私の手に合わせて輪っかを引き上げて!
●●さん、速すぎなどの声が。
試しに3人で練習しよう。
なるほど、この調子だね。
6人になると上手くいかないね
などを繰り返しながらやっとゴール。
17分もかかってしまった。

さてここから何を学ぶか、
組織開発の視点から考えると
共感というものがいかに大切かが
見えてくる。

各人の自由意志は大切だ。しかし、このワークでも
分かるように人数が増え、多様性が高まれば高まるほど、お互いが勝手な思いでやってしまうと
混乱をきたし組織はあらぬ方向、最悪崩壊してしまう。
多様性、働き方改革は確かにイノベーションの点でも
また、個人の価値観を尊重するという点で大いに結構なことだが、
そこには、個人が好き勝手にやっていいというものではない。
では、私たちは、いかに多様性に対して対処していけばよいのか?

ここで、ジル・ドゥルーズの、ヒューム論を皆さんに紹介したい。

多様性と共感についてヒュームは、次のように述べている。
「社会の問題は、エゴイズムの制限の問題でなく、
共感の統合の問題でもある。共感を統合すると、それは、共感をして
それ自身の矛盾を超えさせることで、それ自身の自然的な偏りを超えさせること」
だと述べている。

ダイバーシティ時代、規定などをとおして、一つの型にあてはめ
個々人の自由意志を制限をかけて対処しようとする傾向が見て取れるが、
ヒューム論からすれば、制度やルールで縛り付けるのではなく、
共感を統合していく為の文化をつくる取り組みや場をつくることが、
リーダーとして大切なのだといことです。

今回のワークでも、後半は、自然と、彼に合わせて輪っかを持ち上げていこう!
○○さんもっと早くなど自然と目的にむかってリーダーシップをとるメンバーが
出てきた。
各人の自由意志をそのまま放っておいては、何時間かかってもこのゲームの
ゴールは見えなかったに違いない。

多様性と共感を体感するよい場でありました。