●コラム● あの有名高級ホテルで今、何が起きているのか?
日本に限らず、世界中の経営者たちは長年、経済を最優先する経営こそ正しく、そのためにCSを高めることこそ、正しいことだと考えてきました。
株価やROIなどの経済指標はもちろんのこと、人事の分野では成果主義を通して、より企業に利益を残す活動が正しいと社員たちに檄を飛ばしてきました。
ところが、実際に現実社会で起きたことと言えば、過労自殺を含めた多くの問題をはらんだブラック企業の問題です。
他にも、利益優先で起きたことは、高級ホテル業や飲食業、スーパーを中心とした虚偽表示問題や詐欺まがいのビジネスの横行など挙げれば枚挙にいとまがありません。
雇用の非正規化や徹底的な分業体制による業務の均一化はもちろんのこと、売り上げを上げるために出てきたCS至上主義による低価格で高品質という本来矛盾する形での価格競争の激化・・・etc
それらのシワ寄せが経営者に向かうならまだしも、普通は一般の社員に過酷な労働を強いる結果となっています。
「もう。疲れたよ。」
「そもそも、何のために、誰のために働いているんだっけ?」
こんな状況であれば、誰だってこんな風に思うに決まっています。
経済優先の経営では、全ては企業利益のためであり、そのためにお客様の満足が重要であり、決して社員のためではなく、それどころか結果だけを見れば社員は奴隷にすぎないからです。
「うちの会社はブラックだ!」
こんな風に社員たちの悲痛な叫びが聞こえてくるのは、当たり前のことなのです。
今求められているのは、経済(利益)優先経営からソーシャルキャピタルを中心とした創造性追求経営に移行することです。
ソーシャルキャピタルとは、簡単に言ってしまうと社会を形作る「つながり」のことを指します。
従来の経済優先の経営の中では「お金を生み出すビジネスモデル」が利益を生み出すといわれてきました。
しかし、今、多くの場面で「つながり」そのものに価値があるのだと見直されてきています。
これからは「つながりの多い企業がつながりの少ない企業を食う時代」なのです。
一過性の利益ではなく、継続的な持続可能経営を実現する組織こそ、私たちが推進しているESR(ES×CSR)つながりの経営戦略なのです。