ES組織開発とコンサルティングの全体像~企業事例~


ES組織開発の全体像

ES組織開発では、関係性の質を良くして一人一人の思考の質を向上させていきます。そして、この状態をつくったうえでパフォーマンスを上げてチームとしての成果を高めていくという流れを作っていきます。

ダニエル・キム教授が提唱した組織の成功循環モデルでは、組織の結果の質を高めていくためには、組織の関係性を良くしていくことが大切であると言っています。

①関係の質 互いに尊重 信頼関係

②思考の質 気づき アイディア

③行動の質 自発性 積極性

④結果の質 成果

最も組織として求められるのは④の結果の質で、成果を高めることを企業は求められます。

しかし、成果を高めるためには、一人一人のパフォーマンスを高める必要があり、パフォーマンスを高めるということは行動の質を高めるということです。

そして、行動の質を高めるためには、行動を起こす一人一人の思考の質を高める必要があります。

さらに、思考の質はその一人で成り立っているものではありません。人と人の関係性で組織は成り立っているため、人間関係がうまくいってない状態では、ものごとをいくら正しく伝えても真逆に伝わったり、信頼関係ができてない状態では1伝えても、0.5くらいしか理解されてないといったことが起きてしまいます。

成功循環モデルでは、良い循環を職場の中で生み出して、組織の発達段階のように一人一人の発達段階を上げていく流れを作っていきます。

業績や成果といった結果の質を高めていくためには、一見遠回りに思えても、メンバー間の関係の質や思考の質を高めていくことが必要であり、そのためのグッドサイクルを組織の中に生み出していくのがES組織開発コンサルの役割です。

組織をコミュニティ化、スリーハイさんの事例  

「職場をコミュニティ化しよう」というのが、ES組織開発におけるキーワードの一つです。コミュニティとしての組織とは、雇う雇われるだけの関係性から、フラットにつながって一つの生命体として価値を生み出していくような存在として機能する組織を意味します。

ES組織開発コンサルの起点はクレドづくりです。クレドとは、日本語で言うと行動基準・信条・心構えを示す言葉で、職場における価値判断における支えとなるものです。

なお、クレドを作った後にどのような施策をするかは会社それぞれで異なります。

朝礼や定期的ワークショップの場は必ず設けていただきますが、具体的にどのような施策が運用できるかは会社によって異なるため、メンバー間の対話を通して運用をしてもらうのが基本です。

スリーハイさんでは、クレドが完成した後、ライスバーという取り組みを始めました。ライスバーとは炊きたてのご飯を皆で食べようという取り組みです。

一見するとクレドと紐づいていないように見えますが、若手が多く、朝ごはんも食べずにお腹を空かせて昼食まで過ごす社員が多く、せめてお昼は温かいものを食べようという思いから社長が考案したのが始まりでした。

そしてこのライスバーの取り組みは、後々のスリーハイさんの取り組みに大きな影響を与えていくこととなります。

スリーハイさんは、最終的に地域の中でカフェをつくり、お弁当や食事の提供を行うようになりました。食事は社員や地域の人々、他の会社の社員も集まり、地域の社員食堂として機能しています。そして、発想のもとになったのはライスバーの取り組みでした。

クレドづくりをはじめとするES組織開発の取り組みは、社員の対話の中で進められていきますが、対話の中から漠然とでも見えてきた将来像やありたい姿、こういうことをやってみたいという思いは、後になって実現してくるということが多々ありますので面白いです。

スリーハイさんは、その後、地域の子育てに寄与したことで表彰されたり、地元の小学生を工場見学・モノづくり体験を実施したりカフェの創設を行ったりと、地域との接点を、今も広め続けています。

ES組織開発が目指すところは、まさしくスリーハイさんのようなコミュニティとしての組織だと思っています。このような企業が地域の中で増えていくと、地域全体が元気になり、雇用も増えていきます。地域の働く力を増やし活力を増やしていくことをES組織開発を通して実現したいと考えています。