月刊誌「遊技通信」で毎月監修しているマンガ「パチンコ人事部日記」。パチンコ店の株式会社ゴージャス・グループの人事を急遽、任されることになった気弱な青年 谷川さんを取り巻く人事部での問題をマンガで分かりやすく解説中です。(作画:小山賢二さん/監修:有限会社人事・労務)

外とのつながり

人事部の仕事は、働きやすい職場づくりだ。そのために様々な制度をつくったり、運用面のサポートを行っていく。メンター制度は直属ではない先輩社員に相談できる機会をつくる制度だ。チーム内での悩みや課題はチーム内での解決が難しいこともある。そんなとき力になるのが外とのつながりだ。働き方や仕組みを変えるのは簡単ではなく、変化を生み出す人は孤独になりやすい。外とのつながりを持つことで、チーム内では相談しづらいことや自分では気づかない課題が見つかったりする。ワークライフバランスという言葉が広がり、私生活の充実が仕事の生産性につながるという認識も広がってきた。職場内だけでなく、職場外でのつながりづくりも大切なのだ。
(2021年12月号 監修者:畑中義雄)


メンバーの声を集める仕組みづくり

上司が部下に関心を持っていると感じられる職場では職場に対する不満がほとんどなくなるという調査結果がある。従業員にモチベーション高く働いてもらうためには、一人一人の意見や提案を集める仕組みが大切だ。ワン・オン・ワン・ミーティング(一対一で行うミーティング)で直接話を聞く場を設けること。メンター制度で、直属の上司などには話しづらい意見や悩みも話せる場を設けること。社内提案制度で、メンバー全員に提案のチャンスを与えること。メンバーが貢献感を高めながら働くためには、上司の声掛けはとても重要だ。一人一人のメンバーの声に耳を傾けよう
(2021年11月号 監修者:畑中義雄)


新入社員の教育係

新入社員の定着において入社時の教育はとても大切だ。人手不足や従業員の出入りが激しい職場では、新入社員への直接的な教育を行わず、仕事は見て覚えてもらうという職場も少なくない。しかし、新入社員が十分な教育を受けることができない職場は、不安や不満から離職につながりやすい。また、新入社員への教育は教える側にもメリットがある。教育係としての経験は貴重な成長の機会となる。上司が部下に関心を向けていると感じられる職場では、職場への不満はほとんどなくなるという調査結果がある。新入社員を迎え入れる際は、職場全体で歓迎しているということを伝えることが大切だ。
(2021年10月号 監修者:畑中義雄)


根本的ハラスメント対策

カスハラ(顧客からのハラスメント)、ブラハラ(血液型でのハラスメント)、エイハラ(年齢でのハラスメント)と、40種類以上のハラスメントがあると言われている。中でも会社に対応が義務付けられているのは①パワハラ、②セクハラ、③マタハラの3つだ。ハラスメント対応のポイントは、ハラスメントの加害者は無自覚であるという点だ。ヌードルハラスメントは、日本人がラーメンなどをすする食べ方に外国人が不快に感じてしまうというものだ。悪気がなくとも価値観の違いから不快な思いをさせてしまうことがあるのだ。根本的ハラスメント対応には多様な価値観への理解が必要だ。
(2021年9月号 監修者:畑中義雄)


【2022年4月】育児・介護休業法の改正

男性の低い育休取得率を上げる目的で、改正育児介護休業法が2022年4月から施行される。現在、女性の育休取得率83%に対して男性は7.4パーセント、さらにその8割は1月未満である。一方で、新卒予定の男性学生の8割は育休取得を希望しているという。男性育休取得促進のメリットは採用活動に有利に働くだけでなく、私生活充実による労働生産性向上も期待できる。国の男性育休推進の方向性は一貫しており、男性育休5日を取得した会社へは57万円の助成金も用意している。育休取得促進のためには、制度だけでなく育休をとりやすい風土づくりも大切だ。
(2021年8月号 監修者:畑中義雄)

デキる社員ほど「うつ病」に注意

うつ病は脳のエネルギー不足が原因で発症するといわれている。几帳面、責任感が強い、完璧主義、正義感が強いといった性格は、管理職など職場でも高いパフォーマンスを発揮する社員に共通する特徴だ。注意が必要なのは、高いパフォーマンスを発揮するとともに脳の消費エネルギーも高いという点だ。仕事がうまくいかなかったり環境の変化などが重なると、メンタル不調のリスクが高まってしまう。脳疲労の状態になると、集中力や気力、認知能力といったあらゆる脳機能が低下しメンタル不調の兆候として表れる。メンタル不調になり脳機能が低下した状態では、自分の体の不調にも気づけなくなってしまうため、メンタル不調の兆候を知り、早い段階で、気づくことが大切だ。
(2021年7月号 監修者:畑中義雄)

アドバイスではなくて「傾聴」 

ストレスチェック制度の目的は、ストレスの状態に気づき対応を促すことでメンタル不調を予防することだ。一方で、メンタル不調に気づいた後の対応には注意が必要だ。メンタル不調が疑われる場合に最も重要なのは「傾聴」だ。傾聴とは、相手の気持ちをそのまま受け入れながら聞くことだ。上司や同僚であれば、つい、アドバイスしてしまいたくなるかもしれないが、メンタル疾患が疑われる場合は素人判断は危険だ。人は話すことでストレスの90%が軽減されると言われている。「ただ話を聞く」ということだけで十分に相手の力になることができるのだ。傾聴に徹し、もしメンタル疾患が疑われるときは、産業医など専門家の力もかりていくことが大切だ。
(2021年6月号 監修者:畑中義雄)

パワハラは無自覚

2022年4月1日からパワハラ防止法が施行され、中小企業を含む会社にパワハラ防止の対応が必要となる。パワハラ対応の難しい点は、加害者に悪意がないケースが多いことだ。指導や教育を行っているつもりでも、パワハラだと感じられることがある。パワハラ防止の取り組みとしては、パワハラは加害者も無自覚で行ってしまうことが多いという点を共有することが大切だ。さらには、業務が忙しかったり、長時間労働で十分な睡眠時間が確保できていない場合は、脳のエネルギー不足から、怒りやすくなったり、感情のコントロールがしづらくなったりする。管理職のメンタルヘルスを向上させる取り組みの価値も高まってくるだろう。
(2021年5月号 監修者:畑中義雄)

法改正対応のコツ

毎年の法改正対応に、会社としては頭を悩まされることもある。これは、本社の人事部と営業所の関係に似ているかもしれない。最近の法改正を見てみると、同一労働同一賃金は非正規社員の待遇改善、育児休暇や介護休暇の改正は両立支援、70歳までの就業措置の努力義務化は高齢者雇用の推進と、国が目指す働き方の方向性が見えてくる。さらに法律の水準以上の取り組みをする会社に対しては助成金を活用することもできる。やらされ感をもたずに前向きに取り組みを進めるためには目的を知ることが大切だ。法改正への対応は手間もかかり大変なことも多いが、目指すべきゴールを共有することでより前向きに取り組めるのではないだろうか。
(2021年4月号 監修者:畑中義雄)

社内の強力アドバイザー

人事労務の分野では、多様な人材を活かすことが大切だという認識が広まっている。その大きなメリットの一つは、会社として、多様な視点と価値観を持つことができるという点だ。実際の体験から生まれたサービスは強い。男性・女性・シニアの方、若手社員、育児中の方など、多様なメンバーがいる会社ほど、たくさんの目と心でものごとを体感することができる。一人の全力より全員の余力、多様なメンバーのちょっとした気づきや発見が、大きな価値につながるかもしれない。
(2021年3月号 監修者:畑中義雄)

同じく大切な仲間

職場での悩みのほとんどは人間関係だ。とくに、ベテラン社員とデキる新人メンバーの間ではトラブルが起きることが少なくない。そんな時会社としてどのように対応したらよいだろうか。大切なのは、「同じく大切な仲間」だということを伝えることだ。多くの場合、どちらかを悪者にして裁く必要はない。争う必要がないという前提がなければ、良好な人間関係をつくることなどできないだろう。勝ち負けでなく、一人一人の貢献度を上げていくこと、その一点が大切なのだ。
(2021年2月号 監修者:畑中義雄)

カタカナ専門用語

「コンピテンシー」「タレントマネジメント」「エンプロイアビリティ」「ワークシェアリング」など、人事労務分野は変化が早く、海外から入ってくるカタカナ専門用語も多い。カタカナ専門用語にはキーワードとして印象付けるというメリットがある。しかし、認知度の低いカタカナ専門用語を使いすぎると、相手に対して知識をひけらかしていると感じられ不快な思いをさせてしまうこともあるので、注意が必要だ。カタカナ専門用語を使う際は、相手に伝わっているかを気にかける思いやりが大切だ。
(2021年1月号 監修者:畑中義雄)

人事評価

人事評価制度は社員のモチベーション向上にも大きく影響する一方で、社員の不満にもつながりやすい制度だ。アドラーは人が幸福に生きるために必要なのは「貢献感」であり、「承認欲求に基づいた貢献感には自由がない」と言った。ほめて承認欲求を満たすだけの評価はコントロールにつながる。ギャラップ社の調査では上司が部下に関心を持っていると感じられる職場では職場に対する不満がほとんどなくなることが分かった。一人一人の個性に関心を向け、それぞれの能力を向上させ貢献感を高め勇気づけることで、人事評価制度は本当に価値ある制度となるのだろう。
(2020年12月号 監修者:畑中義雄)

テレワーク

新型コロナ感染症の影響によりテレワークを始めとする柔軟な働き方が急速に広まった。子育て中や介護中といった時間制約や場所的制約をもった人も働き続けやすい職場が増えたことは、持続可能な働き方につながっている。一方で、いつでもどこでも働ける環境ができたことで仕事と生活のバランスを崩し心身の不調につながるケースもある。便利な道具も使い方を間違えるとケガをする。直接会って話す機会が減っている分、小さな変化を見逃さないために、これまで以上に思いやる気持ちを大切にしたい。
(2020年11月号 監修者:畑中義雄)

経営理念

会社は法人と呼ばれ一人の人間のようなものだ。同じ業種であってもそれぞれの会社に大切にしている価値観があり、その会社らしさにつながっている。大切にしている価値観からサービスが生まれ、思いに共感する仲間が集まり、消費者に選ばれる。価値観や思いは目に見えず触れられないが、明文化した言葉はどんな時もぶれることなくカタチをとどめてくれる。会社もヒト、どんなときもその会社らしくあることは難しい。そんな時こそ、明文化された経営理念は支えになってくれるだろう。(2020年10月号 監修者:畑中義雄)

若手の出世意欲

近年の傾向として、若い社員の出世願望が減少している傾向にある。これは出世して責任が重くなる事より、プライベートを充実させたいという意思の現れだろう。また、その理由の一つに、上司のライフスタイルが若手の目標にならない事があげられる。しかし、この出世意欲があまりないという事が“仕事を適当にこなしている””若手が頼りない”と決めつけてしまうのは偏見かもしれない。今後は若手の仕事やプライベートに対する考えやライフプランニング全体を踏まえて、一人ひとりを大切にしたビジネスライフがおくれるよう、会社の対応が求められる。(2020年9月号 監修者:畑中義雄)

離職者の傾向

時間と費用をかけて採用した社員には、できるだけ長く自社で働いて欲しいもの。しかし、社員自身は実際に働いてみてイメージとの乖離がうまれ離職する人もいる。そして、入社1年以内に辞める理由では「仕事が合わない」というのが一番多い。辞職する人の傾向は2つのタイプに分けられ、“より良い職場環境を求める前向きなタイプ”と“今の仕事に疲れてとにかく辞めたいタイプ”がある。後者は身だしなみに気を使う余裕もないので、服装や髪型が乱れがち。逆にキャリアアップを求める人は転職先との面接などのために外見を整える傾向がある。誰でも仕事がきつい時は口走ってしまう時もあるので、真摯に、柔軟にサポートすることが大切だ。(2020年8月号 監修者:畑中義雄)

リファラル採用

知人の紹介者で採用を行う「リファラル採用」では、求人費用が節約でき、紹介された側は前向きな姿勢で働く傾向が強まるといったメリットがある。しかし、紹介された人に対する扱いには注意したい。他の社員に不公平感を与えるような特別な扱いをしないよう、公平に扱う事が重要となる。これは、たとえ特別に期待をしてしまっている時も同じ事が言える。他の社員と同じように普通に対応されることで、本人の仕事の成長も促されるだろう。(2020年7月号 監修者:畑中義雄)

社員の指導

より良い仕事を行ってもらうために、部下一人一人の働きに合わせて適切な指導が必要となる。上司から注意を受けた部下は、口では理解を示すものの、表情や態度は不満気な場合がある。これは指導を受けた本人は、自分の考えや相談があったとしても、その場で上司に伝えることができていないからである。そういった場合は、他のスタッフを交えて雑談のようにフラットな環境で本音や行動の意図を聞く事が効果的である。また、指導する場合は指導と同時に褒めることで普段からの仕事をしっかりと見ていることが伝わり、社員自身の内的動機付けを高められるだろう。ただし、褒め言葉もひと回りして皮肉にならないように気をつけたい。(2020年6月号 監修者:畑中義雄)

ホールスタッフの自主性や権限委譲

最前線で働いているスタッフからの意見はとても貴重であり、この声を社内に伝えることも重要となる。しかし、意見が店長やリーダーなどで判断・却下され、良い意見だとしても、改善に反映されないことがある。そう言った場合、本社の“人事部”に相談することで、社員だけでなくアルバイトも含めたスタッフの意見や小さな声でも会社全体に活かすことができる場合がある。この時、社長の意見で決めるのではなく、リーダー会議を行うことで社員の自主性を育てることができるだろう。様々な意見を出し合うことで、働き方が変わっていくだけでなく、それによりお客様の満足度が上がる政策につながることもある。どんな人の意見でも小さなきっかけをうむ事ができるだろう。(2020年4月号 監修者:畑中義雄)

社員のモチベーション

会社に長く勤めていると、周囲の社員と“昇給・昇格の差”が広がってきたり、他の会社で働いている友人と比較してしまうことがある。そして、向上心の高い社員でも自分の理想と現実に歪みができ、仕事に対するモチベーションが下がってしまう事があるだろう。その際に周囲の人が気にかけてくれているという事や期待されることを認識できることで、仕事に対する意欲の向上につながる。日頃からコミュニケーションをとり、お互いを認め合うことが大切になるだろう。しかし、過度にモチベーションを上げてしまわないなどのコントロールも大切にしたい。(2020年3月号 監修者:畑中義雄)

ハラスメントを防ぐための言動の見直し

社内の人とコミニュケーションを取る際は、言葉遣いなどに注意が必要となり、社員やアルバイトに指導をする際は特に注意したい。合わせて、男女間でのコミュニケーションを図る場合には、外見ばかりを褒めたり評価してしまわないよう、内面や仕事ぶりを評価することが大切である。また、コミニュケーションが上手く取れていない人に対しては、原因となる言動がなかったかを、再度確認し、自分が無自覚のまま発言してしまった暴言等があればしっかりと謝罪をする必要がある。誰に対しても、外見で判断せず無礼のないように普段から意識して接することが求められる。(2020年2月号 監修者:畑中義雄)