皆さんこんにちは!社会保険労務士の原田です。

先日、介護事業所経営者様向けのセミナーでESを軸とした人財確保をテーマにお話させていただいた際も、働き方改革について皆さま関心が高いことが伝わってきました。

セミナーの中では、介護業界の特徴に合わせて特に重要となる人事労務管理のポイントについて広くお伝えさせていただいたのですが、中でも、女性比率が高い介護業界における女性への配慮や男性社員含めた両立支援に関わり、また、現在、監督署の重点チェックポイントにもなっている長時間労働対策については特に丁寧に説明させていただきました。

長時間労働対策を進めるにおいては、ポイントをおさえてから始めないと従業員の不満や経営リスクにつながることがあるので注意が必要です。

介護事業所に限らず様々な業界でも参考になると思いますので、今回は、先日お話させていただいたセミナーの内容から長時間労働を始める上でのポイントについて紹介させていただきたいと思います。

長時間労働対策を進めるにあたり、まず、注意が必要なこと。

それは、
「長時間労働対策をすれば、単純にES向上につながるわけではない」ということです。

ポイントをおさえずに取組みを始めることは、むしろ、従業員の不満や経営リスクに繋がるケースもあるので注意が必要です。

実際に取組みを進めて、従業員の不満やリスクに繋がったケースを見てみると、
・ 業務量は変わらないのに、残業時間の削減を求められ心身ともに疲弊
・ 残業申請書を正しく出すことを遠慮するようになり隠れ残業の発生
・ 労働時間が減少したことにより手取り給与が減少し不満の発生
といったケースが見受けられます。

特に、長時間労働対策を進める上で隠れ残業やサービス残業が発生してしまうことは、従業員の大きな不満や経営リスクにもつながるため注意が必要です。

そこで、長時間労働対策の取組みを始める際のポイントですが、以下の二つが重要になってきます。

【長時間労働対策を始める上でのポイント】
① 目的の共有を行った上で始める
② 正しい勤怠管理が出来るようになった上で始める

まずは、目的の共有、同じ長時間労働対策であったとしても企業によって取組みを行う目的は様々です。長時間労働対策には従業員の協力が不可欠です。従業員の理解を得て取組みを進めていくためには「どうして取組みをはじめるのか?どんな状態をめざしていきたいのか?」といった取組み目的を共有することが大切です。残業削減が目的ではなく、残業削減をすることによって得られることも合わせて共有していくことで社員も取組みに共感しやすくなります。

また、労働時間は給与にも直結します。介護業界の課題として給与の低さが上げられることがありますが、給与の低さを残業代でカバーしている(生活残業)という状況も実際に見られます。長時間労働対策を始める上では、労働時間削減は社員の大切な給与にも影響を与えるものだということも認識した上で、取組みを進める目的を伝えていくことも大切です。

二つ目の正しい勤怠管理についてですが、これが出来ていないまま取組みをすすめてしまうと隠れ残業や未払い残業につながってしまうリスクが高まり危険です。

最悪のケースでは、「業務はこれまで以上に忙しくなり、サービス残業が増え、給与は減ってしまう」という状況も、このような状態では従業員にモチベーション高く働いてもらうというのは難しいというのはご理解いただけると思います。

勤怠管理とは、何時から何時まで働いたのかを正しく把握するということで、特別に難しいことを求めるものではありません。

しかし、実際は職場の風習などにより実際の労働時間と給与計算において利用される実労働時間に差が発生していることは少なくありません。このような場合は、まずは、正しい勤怠管理ができるようになることを目標として勤怠管理の方法を見直す必要があります。そして、残業時間削減の取組みは正しい勤怠管理ができるようになってから取組むようにしましょう。

以上、①目的の共有を行った上で始める②正しい勤怠管理が出来るようになってから始める、の二つのポイントをおさえた上で長時間労働対策を始めることで取組みの主体となる社員の不満や経営リスクを減らすことが出来ます。

これから長時間労働対策を始めようと考えられている方、また、取組みを始めているけれど、うまく取組みが進んでいないという方は、今回紹介させていただいたポイントの二つが実践できているか確認をしてみてください。

また、実際の長時間労働対策の取組み事例などについては機会をあらためて紹介させていただきたいと思います。

作成:原田真吾 社会保険労務士/WorldShiftコミュニケーター