2018年5月15日、弊社の矢萩と産経新聞の田村秀男論説委員の対談が、『FujiSankeiBusinessi.』に掲載されました。

昨今の労働人口減少と労働環境の変化によって発生する、働き方改革について社労士として組織開発コンサルタントの視点からどのように向き合っていくのか、というのが対談のテーマです。

働き方改革とは、表面的な時間管理や休みの問題ではなく、生産性、そしてビジネスモデルの変化に伴う組織改革とセットで扱われるべきだというのが私の考えです。

働き手の環境が整備され、多様化されてきているといっても、組織はその構成メンバーの成長段階、そして組織の成長段階によって、働き手側が受け入れる態勢が出来ていなければ戸惑うことになってしまいます。会社側が良かれと思って従業員の主体性に任せたり、仕事の自由度を上げたりしても、結果的に逆効果になっていることもあるのではないでしょうか。

一例として、昨今、企業のCSR活動が1種のブームになっています。それはそれで良い事なのですが、社員が地域貢献の活動になかなか参加してくれない主体的に動くことができない、と言った会社の相談をよく受けることがあります。

組織にとってCSRを本気になってやるまでには社員一人一人の成長が必要となってきます。社員の視点は自分の課や部門のことのことはおろか自分の仕事を受け身な状態でやっている会社にとっては地域のことを考えて主体的に動く地域貢献活動はまだ不可能です。

そのため、まずこういった上司からの指示に従って動く社員たちの行動変容が必須なのです。例えば行動指針をつくりながら、自社で称賛される行動や価値基準は何かを皆でつくっていくのもその一つでしょう。

そのように指示待ち人間から主体的に動くメンバーが増えていくにしたがって初めて、CSRを中心としたビジネスモデルが実現していくのです。

 

また、最近では、縦割りの会社から機動的なフラットな会社を求められる傾向があります。

機動的な組織の会社を作るには、従来の指示型リーダーではなく奉仕型リーダー(サーバントリーダー)が必要です。先ほどの例のように、メンバーが自由な環境の中で自己の能力を活用し主体的に働く環境をつくる、そのような奉仕型リーダーが、活躍する時代なのです。

生産性向上のためには、情報を共有し、コミュニケーションを取っていくことが大切です。顧客の満足(CS)を高めることが重要とされていますが、それだけでなく一人一人の社員の成長を後押しして貢献する従業員満足度(ES)の向上が不可欠なのです。

機動的なフラットな会社、つまり自律分散型組織に移行するには、いきなり移行させようとするのではなく、段階を踏むことが大切です。

まず対話の場を増やすことで企業内の情報や個々人の考え方が見える化・共有化されていきます。

個人ごとに異なる働く動機・志向などの多様性を理解し、会社に属していくことでどのように自分自身が人間性を高め成長していくのか?また会社のために何ができるのかを考える、対話の場を持つことが大切です。

そのような中ではじめて地域やチームのためなど、一団となって物事にあたる組織、自律型分散組織ができあがっていきます。

働き方の多様性を認めるひとつとして、会社の組織という枠から外れて副業という選択肢が今、話題になっています。

組織づくりの観点からは改善を目指すことは難しいが、働き手が組織を選べることで、残業やブラック企業の問題を解決できるのではないか、という提示です。

自律型分散組織の評価の方法についても、従来の一般的な評価では対応ができません。アウトプットだけで評価しない。テクノロジーの導入が人事にも進み、毎月、毎週社員の働きぶりをフィードバックするというパルス人事の取り組みが進んでいます。

例えば給与の原資の分配の一部をチームごとの主体性に任せたり、外部との連携によって行ったりして見える化をすることで、評価の基準として客観的な視点を持つ方法をとるのです。

もう半年や1年に1回の人事という次元ではなく、毎日がフィードバックの時代、つまり人事考課はいらない時代となるのです。

最後に、働き方をめぐる環境は変化しており、ティール組織という組織の在り方も出てきました。今後テクノロジーの発展に伴い、働き方そのものにも影響が出てくると思われます。

しかし、どんな変化が起こったとしても、従業員満足度(ES)の重要性は変わりません。

ESを念頭にした働き方を考えていく過程の中で、自律型分散組織が形成され、生産性向上を実現できるようになるのではないでしょうか。

 

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