デジタルの流れと組織開発


デジタル化の流れは無視できない

私たちが行っている人事労務関連の仕事は時代の変化とともに大きく変化してきました。

1960年代の人事労務の仕事といえば給与計算が中心でした。
2000年ごろになると、優れた人材のマネジメントが注目されるようになり、タレントマネジメントという言葉も出てきました。
そして、2010年ごろになると、優れた人だけでなく組織全体に注目するという流れがきました。いよいよ組織開発の時代です。

一人一人がより活躍できる場づくりが注目し始めたのです。

また、これからAIが普及したあとの時代に対応する新しい組織のカタチとして、自律分散型の組織が注目されています。
私たちがこれまで行ってきた、給与計算や社会保険の手続き業務は、ソフトウェアの普及や電子申請の普及で今後大きく変化することでしょう。

また、欧米企業を中心に広まっている年次評価制度を廃止する廃止するという流れも人事労務の仕事に変化をもたらすはずです。

時代の変化をとめることはできません。私たちにできるのは変化にあわせて私たち自身が変化を受けとめ対応していくことです。
組織開発を通し、時代の変化にあわせて変化できる組織作りのお手伝いをしている私たち自身も、時代の変化にあわせて働き方を変えてきたのです。

つながることによって見えてくるもの

テクノロジーの進化は、私たち社労士にとって、給与計算や手続き業務といったこれまでの仕事を奪う可能性をもつ一方で、チャンスも与えてくれています。

テクノロジーの進化により失うものがあるのと同時に、得られることもあるのです。
これは社労士だけでなく他の多くの企業にも共通することでしょう。

私たちにとってのチャンスとは、クラウドやビッグ―データの活用ができるようになったことにより、これまでバラバラに存在していたもののなかから「つながり」をみつけ価値を生み出すことができるようになってきたことです。

これまではバラバラに管理されていた人事関連情報も、ソフトウェアを活用することにより一元に管理することができるようになってきました。その結果、例えば、給与を出すためにだけ活用されていた勤怠時間は、従業員の健康管理にも活用されるようになりました。長時間労働の従業員を知ることができれば対策を打つことができますし、遅刻が増えたスタッフがいれば、家庭環境の変化や健康上の問題が発生しているのではないかという気づきが得られるようになったのです。

大切なことは、これまでバラバラに存在してきたものの中から、つながりを生み出し、その中から新しい価値を生み出そうとしている点です。テクノロジーの進化はその点において、社労士の仕事に限らず私たちに仕事に大きなメリットをもたらしてくれると期待しています。

共通の世界観を育てる

これからもテクノロジーは進化し、私たちの働き方は変化をしていきます。
組織開発における私たちの大きな役割は、組織の中に共通の世界観を育てていくことです。

組織開発では、それぞれの個人は異なる存在であるという前提に立ちます。違うもの同士の中で、つながりを生むために必要なものが共通の思いであり世界観なのです。

人はそれぞれ異なる世界観を持っていて、たとえ同じものを見たとしても、個人個人には違った見え方をしている。つまり、違ったものが見えているのです。
その中で、共通する何かが見えたとき、つながりが生まれ、私たちは一つになることができるのです。

企業の理念やビジョンといった組織の世界感も、一度作って終わりというものではなく育てていくものです。時代やメンバーの価値観の変化とともに変化し共有していくことが必要なのです。