従来のエクスペリエンス構築アプローチvsデザイン・シンキングアプローチ
これからの人事制度の構築では、最終的に従業員満足を高めるというのではなく、従業員満足を高めるにはどうすれば良いのかという逆の思考からシステムを作っていくべきではないかと考えています。たとえ良い人材を確保できたとしても、社員のイノベーションを殺してしまうような職場では力を発揮することができません。
これからは、いかに組織開発をしていくかという視点が大切になります。例えば、入社式ひとつにしても単に開催するのではなく新入社員が一番喜ぶであろう入社式は一体どんなものなのだろうかと考えることが大切であり、何事もそのような思考から組み立てていくことが今後必要となってくるでしょう。
弊社がコンサルティングをする際、「能力×やる気×考え方=成果」という考え方をもとにしたデプスインタビューを社員一人一人に行なっています。
社員の考え方をヒアリングし、この組織にはどういった人たちがいるのかというペルソナを作成し、そのペルソナのモチベーションやニーズを見つけ出すところから人事制度づくりのアプローチを試みます。
●価値観のWHY:心の火種マップ
また、ES推進イノベーションプログラムの取り組みの一つに、社員の内的動機に着目しようという「心の火種マップ」があります。
個人のパフォーマンスを最大化するには、社員一人一人の働く価値を見つめ直すことが重要です。そのためには日常の会話ではなかなか見えづらいであろう、その人自身の数十年間の経験の中で作られた価値観を知る必要があります。どのような時にどのようなことでワクワクしたのか、やりがいを見出したのか、等を振り返ることで、なぜこの職場にいるのか、この職場では一体何をしたいのか、それをどのようにするのか、等の内的動機を社員自身が自覚し、また共有する作業として「心の火種マップ」を作成することを推奨しています。
組織全体の従業員満足・ワークエクスペリエンスを高めていくためには、社員一人一人のWHYから始まる内的動機を大切にして人事制度を見直すことも必要だと考えています。