弱さが強さに変わる組織 <自然経営シリーズ 第5回>
<有限会社人事・労務 設立20周年記念セミナー基調講演より>
働きやすい職場はどのように作られるのか?
イノベーティブで協働的な組織のあり方とその実践について研究を行っている埼玉大学大学院の宇田川元一先生の講話をもとに、コントロールを排除した、より自然体な経営スタイル「自然経営」のあり方について考えてみた。
第1回:人がつながるプラットホーム、コラボレーティブコミュニティとは?
第2回:”勇気を持たなくても言い出せる”組織の作り方
第3回:「貢献感」で会社と社員をつなぐ
第4回:”弱さ”とはつまり、”関わることのできる余地”のことである
第5回:弱さが強さに変わる組織
<弱さが強さに変わる組織(第5回)>
●人間の弱さは素晴らしいものである
宇田川先生の講話の一番最後に紹介いただいたのが、「人間は考える葦である」というパスカルの言葉である。
「人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」
人間は自然のうちで最も弱い存在である、しかし、その弱さ故に私たち人間は考え、そして、つながる力を持っている。
人間の弱さは、私たちを考えさせ、つなぎ、そして、一個人ではなく共同体としての強さを育む存在なのだ。
組織の中においても個人の弱さは組織としての強さを育む存在と言えるかもしれない。
私たちは、コラボレーションすることができるのだから!(私たちは考える葦なのだ!)
●弱さが強さに変わる組織
完璧な人間などいない。全てのひとは異なっていて、得意不得意がある。
しかし、その中であるべき一つの理想像を目指してみんなが同じ姿を目指そうとしてきたのがこれまでの私たちだったかもしれない。
しかし、パスカルは、人間は弱さ故に考えるという強みを手にした言い、また、自然における多様性は突き詰めれば種の存続を守るためのものでもある。同じものの集まりだった場合、一定の条件になってしまえば、全てが一気に途絶えてしまうということがありえるのだ。
しかし、多様性はそれを助ける。その条件に絶えられる存在があれば種は存続できるのだ。
企業の存続を考える時も、メンバーそれぞれの弱さ、多様性は企業としての変化への対応力と言えるかもしれない。
弱い人間の私たちがつながることで強さを発揮する場が組織であるとすれば、私たちにとっての組織はとてもありがたい存在だ。
不完全な者同士が、それぞれの強みを知り、弱さを受入れ、つながることで組織としてパフォーマンスを上げていく。
もし完璧な人間がいるとすれば、その人は、とても孤独な人間だろう。
その人は、誰ともつながる理由がないのだから!
著者:原田真吾 WorldShihtコミュニケーター/社会保険労務士有資格者/