ティール組織と経営理念


ここ最近ティール組織へ移行したいという中で書籍には、経営理念は邪魔になることがあるということが記してあり、何事も理念に基づいて!と言ってきた我が社にとっては理念を無くすなんてとんでもないのですがどうすればよろしいのですか?という話を先日頂いた。

皆さんはティール組織と経営理念についてどのように思われますか?

ティールの書籍でも紹介され、私の友人でもあるダイヤモンドメディア社の武井社長とも以前この話をしたことがあるが、
武井社長からは、
「理念は理念という言葉があるとそれが正解だと思い社員が思考を停止してしまうのだ」という話をいただきました。さらに、このことを相談してきた某飲食店の社長さんも同じことを述べており社員たちが自分たちは問題があるにもかかわらず理念の通りやっていると思いこんでいて、そこから動こうとしないのだ、と。

理念はその人その人によってどうとでも捉えられるので良い方に解釈し、指摘があっても理念の通り私はやっています。出来ていますとなってしまうのだと。

皆さんはどのように思われますか?

先日組織開発の仲間と理念の存在について議論をし、私自身、今のところの理念の存在解釈について腹落ちしたので皆さんと共有できたらなあと思うのです。

理念には、社員の思考や行動を狭める枠のような理念と、軸のような社員の思考や行動の自由度を広げてくれる理念の2つが存在するはずだ。

例えば、弊社は社労士事務所です。もし、うちの会社に理念がなければ、手続きや労働法の専門家と思って世間一般の社労士の仕事像として行政の手続き代行会社として安定を求めて間違って応募してきてしまう人が増えてしまい双方にとってこんなはずではなかったと不幸な結末になる。

この場合は、弊社の経営理念を自分なりに解釈していただき「人事キャリアの専門技術を通して企業と社員の関係構築のパラダイムシフトする」という理念をもとにお互い採用面接で話し合うという生産的な場が理念のおかげで実現するのだ。

だから理念がいらないとは一概に言えない。そして、自由度の存在である。

これは、WHATとWHYの違いを考えてみるとわかる。

なんの会社かというWHATの観点から理念を作るのと
この社会に対してどのような存在であるのかというWHYの視点からの理念からではその自由度が全く違う。

例えば、
誠実にすばやく、丁寧な手続きをモットーに!と掲げる会社と、
次世代を担う子どもたちの働くを豊かを!そして地域の元気!という理念を掲げる会社とでは、
行動や思考の幅も変わってくる。

どうしてもWHAT型は、なんの手続きをやるのですか?どの種類の手続きですかと具体的な話に目が言ってしまい思考や行動が広がらないのだ。

WHY型は、理念を軸としてこんな仕事もこんな商品もうちがこの理念に照らし合わせてやっていってよいのではないかと、思考の幅が広がるのだ。

そう考えていくと一概に理念がいるかいらないかはその会社の状況や他の制度との兼ね合いによるのではないかということだ。

理念がなくても人事制度が精緻に作り込まれ評価がマニュアル的になっていればこれは、理念のありなしにかかわらず行動や思考が狭められてしまう。
また、理念がなくテイールだといっても、お互いに対話もなく社員同士の信頼がないのであれば、それは単なるバラバラの集団でなんの生産性も生み出さない。

他の制度とのバランスで理念のある無しは決まってくるのではないだろうか?

ほぼ日手帳の糸井重里氏は、理念の存在について大切なことは言葉にできない、あえて言葉にしない。お互いが五感で捉えるものだと言っていたがこの理念を無くす基準として参考になる。弊社もこの基準に近づくようにやっていきたいものだ。