想いと行動が全ての始まり。地域とつながる牧場経営
みなさん、こんにちは。有限会社人事・労務の山﨑です。
11月21日(土)をもちまして、一般社団法人 日本ES開発協会 主催の日光街道まるっと学び舎プロジェクト「太陽のもとのてらこや2020年度」が様々な方のご協力のもと無事終了しました。
今年は、オンラインセミナーやオンライン配信など、このような世の中だからチャレンジを、ということで新たな試みを始めました。
また、オンラインセミナーは今後開催されます12月~1月読書会の始まりになっています。
終わりが始まりに・・・そしてまた新たなご縁に繋がっていくのでしょうか。
今回は、その読書会のオープニングセミナーについてのブログになります。
オープニングセミナー、特別講義ともにテーマは「地域のつながりを起点として幸せな経済のまわしかた」です。
オープニングセミナーのゲストは、栃木県大田原市の前田牧場さん。
循環型農業を実践し地域のつながりの基点として活躍する前田牧場の専務前田智恵子さん(ちぃちゃん)にZOOMにてお話いただきました。
循環型農業を営む前田牧場さん。
有限会社人事・労務との出会いは、地域を舞台にしたワークショップを行う越後湯沢での合宿研修。
その時の研修に参加してくださったのが出会いです。
第一部は、前田専務から事業内容のご紹介や循環型農業についてお話いただきました。
後継者として厳しく育てられた前田専務は、27歳のときに祖父が亡くなったことを機に祖父が大切に育てていた牛24頭を世話したことで、牛との親密なふれあいに心を動かされたこと、命が食べ物に変わるまでの長い間、牛に関わる人達の想いに触れ、そこに感動し就農を決意。来年25周年を迎えます。
終始、こちらまで笑顔になってしまうような、きらきらとした笑顔でお話される前田専務。
そんな前田専務も「昔はむすっとしていた時期もありました。」と仰っており、お客様に
「笑顔」と「健康」をお届けしたい、と思ってから変わっていったとのこと。
なぜ赤身のホルスタインを??
- 良質な動物性タンパク質を手頃な価格で提供でき、多くの人の健康に貢献できるから
- 再現性が高い飼育方法だから
- ホルスタインが大好きだから
牧場なのになぜ野菜作りを??
- 堆肥を活用して作物を作る
- 近所の農家に後継者がおらず、田畑を借りてほしいという声が上がってきた
- 堆肥の処理がスムーズになれば牛を増頭できる
- 野菜作りは人手がかかるので雇用を生み出すことができる
↓
年間を通して野菜作りができる環境を作ることで
・スタッフの生活が安定する
・堆肥を使いきることができる
・野菜作りは仕事を選べば高齢者でも可能
まさに、マイナスをプラスに。
いろんなものを循環させている様子がうかがえました。
「いくら本を読んでも、行動がすごく大事。
格付けと美味しさは別のもので、世間の評価だけではなく自分の思い、自分が良いと思ったことを。気持ちが根底にあるのであれば、我儘とは区別し気持ちを貫くことが重要。」
私が感じたのは、自分も含めて普通、人は世間の評価に自分の思いを合わせがちだと思います。
なぜならその方が楽だから。
ですが、根底に「好き」という強い思いがあることで、長続きし、イノベーションを起こす原点になるのかなと思いました。
第二部は903シティファーム推進協議会の矢尾板と台東区での実践の話も織り交ぜながら 対談形式で行いました。
台東区で野菜販売からカフェへ、大田原で牧場経営からカフェやバーベキュー場へ、 場をつくることでさらに地域との交流を深めているお二人。
「場をつくる上で大変だったこと」
「地域とつながるために意識したこと」
「今にいたるまでの間でどういう個人の変容があったか。」
などのお話をお二人に伺いました。
前田専務から出た大変だったことや、地域とつながるために意識したことの中で特に印象的だったのは、まず雇用した人との意識の差です。
自分だったら出来る仕事ではなく、シンプルに簡素化し、その土地にあったお仕事の方法を考えた。
それを話す前田専務は、まさに経営者の顔であり、それを「なんちゃって智恵子スタイル」と楽しそうに呼んでいました。
また、繋がりたい、知ってほしいのならどこにでも顔を出すしかない!と断言。
これは第一部で本ばかり読んでいても、行動しなければ始まらない、と仰っていた言葉と繋がるものがありますね。
矢尾板からの変容の話のなかで、カフェで初めて売上が3万円あがったとき、5000円の使い方をみんなで話し合ったことから、自分事に捉えられるメンバーが増えていき、言葉を発しやすい空間が出来ていったとのこと。
カフェが目指す、対話を大切にいるだけで安心する、ほっとするような場づくりがスタートしています。
お二人とも、「好き」や「想い」が根底にあり、まわりの人や地域を巻き込んで活動していることは共通していますね。
お金だけに縛られているビジネスのやり取りしかなければ人は心が動かされないので、人や地域を巻き込むのは難しいでしょう。
高校2年生の参加者からは
「牛をペットのように大切に育てているのに、食用とするのは悲しいに気持ちになりませんか?」
という素朴な、他の大人も気になっているものの聞きづらい質問が出ました。
前田専務からは「よくぞ質問してくれました!この話は聞かれたときしか言わないのですが。」と。
前田専務も以前は、出荷の際、号泣してしまい仕事にならなかったそう。
そんな中、実際に自分で屠畜の現場を見に行き、真剣に命をお肉にしようとしている職人の姿に感動し、嫌だからといって逃げちゃだめだ。と思ったとのこと。
今は、2年間を通じて様々な人が関わる牛を、寂しいけれども、そのために生まれてきたのだから役割を全うさせてあげるのが私たちのお仕事だ、と。
この質疑応答には、会場にいた皆さんそれぞれ想いを巡らせ、温かく深い空気が流れました。
前田専務、お話いただき本当にありがとうございました!
私個人として感じたこと。自分が北海道から出てきた身として、大田原という東京などの都会とは違った気質を持った土地の中で、周りが行っていないチャレンジをし続けている、その心意気に感銘を受けました。
前田専務は終始笑顔でお話されていましたが、今の循環型農業を営むしくみづくりが軌道に乗るまで、たくさんの苦労があったのだとお察しします。
それでも行動し続けることが大切だよ、と仰る前田専務の姿を見て、私も日々の行動を大切に、前に前に進んでいこうと思います!ありがとうございました。