社労士発、SDGsから始める「攻め」の人事労務管理のすすめ◎


皆さま、こんにちは!社会保険労務士&WorldShiftコミュニケータの原田です。今回は、最近何かと耳にする機会が増えてきた「SDGs」(17項目の持続可能な開発目標)について、企業としてのかかわり方について紹介させていただきたいと思います。

SDGsの取り組みは、個人から企業、最近では地域という大きなコミュニティまで、さまざまなカタチで取り組みが実践されています。

また、「これをしなさい!」と言われてしぶしぶやるというものではなく、それぞれの立場と役割の中でできることから始めようという委ねられたスタイルは、これまた最近注目されているホラクラシーやティール組織といった組織運営ともつながります。

個人、中小企業、大企業、それぞれの立場だからこそできる取り組み方があるはずですので、興味を持たれた方は、ぜひ一緒に取り組みを始めてみましょう!


(目次)
〇人事労務管理は「攻め」と「守り」の両方が大切
〇SDGsとは?
〇すでに「働き方」から「暮らし方」に関心は移っている
〇それぞれの立場と役割の中でできるることから始める
事例①吉本興業
事例②SOMPOホールディングス
事例③私の事務所

■人事労務管理は「攻め」と「守り」の両方が大切
まず、SDGsについて紹介させていただく前に、人事労務管理には「攻め」と「守り」の2つがあるというお話をさせていただきたいと思います。

「守りの人事労務管理」というのは、やるべきことがやれているか?ということで、ひとことで言うと、「法律を守れているか?」ということです。一方、「攻めの人事労務管理」というのは、「やらなければいけないと決められているわけではないけれど自ら進んで取り組むこと」です。

「攻めの人事労務管理」の良いところは、より会社らしさがでてくるところです。やらないで良いことほど差が出てくるというもので、会社としての個性を示し選んでもらうためにはメリットが大きいといえます。では「守りの人事労務管理」というと、できていないとスタッフの不安や不満につながりやすいという特徴があります。大企業や働き方改革で注目されている企業であっても、実は社内では、適正な時間数管理ができていなくサービス残業への不満が高まっているといったケースもあります。

今回紹介する「SDGs」の取り組みは「攻め」の人事労務管理に当てはまりますが、「守り」の人事労務管理も同じように大切だということをはじめにお伝えさせていただきました。

■SDGsとは?
では、SDGsの紹介に入らせていただきますが、以下、外務省HPよりSDGsの紹介文章を引用させていただきます。SDGsの取り組みについてイメージがしづらいという方は、同じく外務省HPにて紹介されているSDGsの紹介動画を下記に共有いたしますので是非ご覧ください。

”持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。(外務省 HPより)

SDGs NOW! 17 Goals to Transform Our World

(動画:外務省 HPより)

SDGsの取り組みに対して、これまでのCSR(企業の社会的責任)活動との違いが分からないという声を聞くことがありますが、大きくとらえるとSDGsもCSR活動の一つとも考えられます。

CSR活動についても、それぞれの企業の関心と役割の中でできることを実践しているという意味ではSDGsと同じです。様々な社会的課題がある中で、持続可能な社会に対してスポットを当てたものがSDGsの取り組みといえます。

逆に、すでにCSR活動を実践している企業の場合は、その取り組みがSDGsの17の開発目標のうち、どの開発目標とかかわっているかを見てみると面白いと思います。いくつか重なりが見えてくる企業もあるでしょうし、まったく重なっていないという企業もあるかもしれません。SDGsの取り組みとの重なっているということは、「持続可能な社会」と自社の活動とのつながりを示すものであり、自社の取り組みの新しい一面への気づきがあるかもしれませんね!

■すでに「働き方」から「暮らし方」に関心は移っている!
(ここからは、SDGsの取り組みに対して腰が重たい方(企業)に対して、SDGsの取り組みをしてみたくなるようなお話をさせていただきたいと思います。)

SDGsの取り組みを企業がするメリットは何かと考えてみたのですが、一つは、すでに「働き方」から「暮らし方」に人々の関心は移ってきているということです。

エシカル消費※(倫理的な消費)という言葉もでてきて、消費者は本気で商品を選び始めまています。

※”エシカル消費とは、「人と社会、地球環境のことを考慮して作られたモノを購入あるいは消費する」という意味です。実は私たち消費者は、日々の買い物を通じて、世界に影響を与える力を持っています。実は私たち消費者は、日々の買い物を通じて、世界に影響を与える力を持っています。
(引用:一般社団法人エシカル協会より)

見た目や値段だけでなく、環境や人、社会へされてつくられたものかという見えないところまでを考えたうえで「買う」という選択をする人が増えているのです。

では、なぜそのような消費スタイルが広がっているのかを考えてみると、そこには、地球一個では足りない私たちの暮らしがあるのではないかと考えています。

エコロジカル・フットプリントの研究によると、今の日本人の生活は、地球が2.4個分必要な生活をしているといわれています。(ちなみにアメリカ人の暮らしの場合は地球が5.3個必要と言われています!)

”世界中のひとびとが日本人のような暮らしをはじめたら、地球が約2.4コ(4.3÷1.8)必要です!つまり、日本人は現在の経済(消費)活動のスケールを2分の1以下に戻すことが求められるのです。(データはWWFの「Living Planet Report 2004」より)

(出典:NPO法人エコロジカル・フットプリントHPより)

地球は一つしかありませんから、もし、私たちが地球で暮らし続けようとするのなら、方法は地球の再生能力を超えない「地球一個分の暮らし」を実現する必要があります。今の私たちの暮らしは持続可能な暮らしではなく、持続可能な暮らしをするためには何かしらのアクション、変化が必要なのです。そして、持続可能な社会という大きな目標に対して、私たちができる取り組みを見える化し、取り組んでいこうというのがSDGsの取り組みです。

人々の関心は、「働き方」から「暮らし」に移っていて、「暮らし」に関心を持っている人は「SDGs」に関心が向きやすい。では、これから企業が消費者や求人者から選ばれるためには何が必要でしょうか?
どうでしょうか~、少しはSDGsに興味がでてきたという方がいてくれるとうれしいです!

■それぞれの立場と役割の中でできることから始める
最後に、これからSDGsの取り組みを始めてみたいという方(企業)に向けて、事例を紹介したいと思います。(取り組み事例は外務省のSDGs紹介ページより検索が可能ですのでそちらも興味がある方はご覧ください。)大企業だからできて中小企業はできない(その逆もしかり)というものではなく、それぞれの立場と影響の範囲の中でできることが必ずあるはずですので、事例を参考に自社なりの取り組みを考える参考にしていただけると幸いです。

事例①吉本興業
私が好きな事例の一つが吉本興業さんの取り組みです。(下記に紹介する動画、面白いので是非見てみてください!)「お笑い」と「SDGs」、一見すると結びつかないように思うのですが、より良い国際社会の実現のために「笑顔」は最強のツールだと思えてきます。繰り返しにはなりますが、それぞれの立場と役割のなかでできることがきっとあります、私たちの会社は関係ないと思わずに、ぜひ一度私たちの会社だからこそできる取り組みを考えてみてください。

◇以下、吉本興業様のHPより
”2030年を笑顔であふれる世界に!
吉本興業は、国際社会の一員として、持続可能な開発目標(SDGs)に賛同し
「笑顔」につなげる活動を通じて、より良い国際社会の実現に貢献・応援いたします。

動画:『SDGsについて考えはじめた人々「予告」篇』

事例②SOMPOホールディングス
SDGsとCSR活動の関係については、SOMPOホールディングス様の取り組みが分かりやすい事例だと思います。グループCSRビジョンに基づき、SDGs達成に向けた様々な取組みを実施しており、その活動内容はCSRコミュニティーレポートの中でも紹介されています。

https://www.sompo-hd.com/csr/sdgs/impact/
(SOMPOホールディングスHP/SDGs達成へ向けた取組事例より)

事例③私の事務所
最後に、やっぱり何から始めたらいいかわからないという方(企業)に向けて、今この瞬間からでも絶対始められる事例として、私の事務所の取り組みを紹介します。

それは・・

とりあえず、ポスター張ってみる! です。
(この記事を書きながら考え、書きながら実践しました)


(印刷が下手すぎて見切れていますね。)

私は社労士として様々な企業の方と接する機会に恵まれていますので、17番の「パートナーシップで目標を達成しよう」を意識した取り組みをしていこうと思っています。(こうやって記事を書いているのもその一つの活動とも言えますね!)

具体的な取り組みが思いつかなかったとしても、考え始めるというのも、立派なアクションの一つだと思います。ハードルはとことん下げたほうがいいというのが私の持論です。(誰かの必死よりみんなの余力!)

ここまで、読んでしまった皆さまはきっと、SDGsに関心のある方でしょう。
もし、まだ始めていないというのであれば、私のSDGsの取り組みに乗せられてしまったと思って、ぜひ、取り組みを始めてください!

皆さまと、活動内容のシェアができること、楽しみにしています。

以上!

文:原田 真吾 社会保険労務士/ WorldShiftコミュニケーター
熊本生まれ。学生時代、「満員電車の中の疲れきったサラリーマンにはなりたくない」との思いから「働き方」に興味をもち、労務管理唯一の国家資格である社会保険労務士の資格を取得。卒業後は介護会社に就職し、現場経験後、本社勤務スタッフとして経験をつむ。「働き方」と向き合う中で「働き方」の先にある「暮らし方」への感心が高まり、「地球一個分の暮らし」を目標として掲げる。「地球を愛する 地球から愛される」をあいことばに地球一個分の暮らしと、それを実現するための働き方を目指し活動中。