自由で責任のある働き方とは~「ティール組織」解説者の嘉村賢州さんの講演を通して~

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先日弊社で開催したセミナーへ「ティール組織」の解説者の嘉村賢州さんをお招きしての講演がありました。
レポート:「ティール組織に学ぶ新しい時代の個と組織のはたらくカタチ」セミナー▼ )

「ティール組織」とは、
フレデリック・ラルー氏が著書「Reinventing Organizations」の中で提唱した新しい概念の組織論のこと。

1970年ころから生まれた組織形態で、ピラミッド型組織ではなくCEO・経営陣と多くのチーム、サークルが信頼で結びついた組織。
上下関係がなく、1人1人の構成員に自律的判断が委ねられているのが大きな特徴です。

賢州さんのお話の中で印象的だったのが
「ヒエラルキーをなくせばティールになるわけではない。」とのこと。

確かにティール組織の説明を聞くと中央集権ではなく、フラットな組織状態であることがティールを指すように思いました。
それだけではティール組織とは言えないということですね。
では何が違うのでしょうか。

著者のラルーは元々マッキンゼーでコンサルタントとして働いていたそうです。

ただその中で「社長が幸せそうじゃない」「社員が幸せそうじゃない」ということに気づき、その気持ちと向き合う為に旅に出たそうです。

その旅の中で、色々な会社に出会い、その中である共通事項があり、それについてまとめたのが「ティール組織」。
理想論を構築したというより、実際の事例から抽出した理論です。

実際の会社で上司部下という階層がない組織があり、社員も満足度を感じながら仕事をしている組織があるのですね。

ティール組織の成功事例として挙げられたのがオランダの非営利在宅ケア組織、Buutzorg(ビュートゾルフ)です。
オランダで2006年に創業された非営利の在宅ケア組織です。

看護師がケアの全プロセスに責任をもち、その専門性を存分に発揮する場を作れば、コストは抑えたまま質の高いケアを提供できるのではないか。そういう思いから、Buurtzorg(ビュートゾルフ)は産まれました。

レポート:場に関わる皆が「わたしたち」を主語に語る組織【1】~ビュートゾルフ柏へ行ってきました▼ )

ビュートゾルフの凄さは、10,000人ものメンバーを抱えているのに、マネージャーやチームリーダーが一人もいないこと.
最小限の決めごとだけに絞り、各チームは独立性を持ち、すべてのことに裁量や責任を任されている。

その為にはICTが欠かせず、情報共有をスピーディに行っている。

定例ミーティングを定期的に行い、役割や責任の確認を行う。

また、利用者のニーズにたいして、自分ならどのようなケアができるのか、

メンバーが自由に話せる雰囲気がビュートゾルフには確保されています。

その結果、バリエーションに富んだケアがたくさん生まれています。

メンバーひとりひとりが、進化する目的(Evolutionary Purpose)を仕事の中に見出し、実行に移します。

チームにはほぼ全ての権限が移譲されており、情報共有も活発なので、利用者にとって最善のケアを探ることができます。

このように社員同士の信頼関係に基づき現場での意思決定に任せていくことで、様々なサービスが生まれ、顧客満足だけでなく、従業員の満足度も上がっていきました。

その結果2006年創業当時は10名程であった従業員が2019年には、10000人を超えてます。

まとめない組織であるのに自然とまとまっていく、そんな組織がティール組織であるのかなと感じました。

自然とまとまるためには、信頼関係と共通の目的(最善のケアを行う)と自由であり責任のある働き方をできる環境が支援されていたのだなと思いました。

弊社内も多くの業務を個人の裁量に任せていただいています。その中で、自分で思考し、責任も持ち、意思決定をさせていただくことが多いです。

以前は比較的決められたことしかできない仕事をしていたこともあり、自分で決めていいということへの喜びと共に責任を感じつつも、任せていただくことでの日々の意思決定への向き合い方の意識が変わったように思います。

「本当にこれでいいのか??」など、まだまだ日々迷うことも多い中ですが、その迷いや葛藤の中での気づきを学びにつなげ、実践へとつなげていければと思う今日この頃です。

そしてまた嘉村さんの講演に続き、弊社では日本でのティールの事例としてご紹介されている元ダイヤモンドメディア代表の武井さんをお招きしての読書会開催致します。
武井さんの「自然経営」が課題図書になりますが、「ティールを目指して組織作りをしていたわけではない」という武井さんの想う組織作りを本を読みながら、また新たな組織の事例をワクワクする想いで読ませていただいています。
参加者の皆さんとのワークや武井さんのお話も楽しみです。