社員のやる気につながる人事制度改革とは
経営者の方から退職者を減らすために賃金制度や組織開発についての相談を受けた際、実際に社員の方々にヒアリングをすると人間関係や働き方そのものが本当の問題だというケースが多々あります。
近年では働き方が多様になり、必ずしも社員だけではなく外部のメンバーとも同じ環境で一緒にやっていくという形が増えつつある現状。そういった中で、これから必要だとされるのはES経営ではないでしょうか。
ES経営とは、人間性尊重経営のことであり、社員の職場での体験価値を最大化することによって社員一人ひとりがやりがいを見出し、より良い組織として生産性が向上することに繋がり、持続的な経営を実現させます。
その中で、賃金をどうするのか、また賃金以外にも社員からのニーズを理解して人事制度を考えていくことが必要だと私たちは考えています。
はたらく喜びと業績との関係、未来に選ばれる会社のES組織のつくり方とは一体どのようなものかについて以下で述べていこうと思います。
●デロイトミレニアル調査
働き方改革や業界構造の変化、経済のグローバル統合と分断など、近年は企業を取り巻くさまざまな変化が起こっています。そんな中、これからの大きな課題の1つである働く人の意識の変化としてミレニアル世代の台頭があげられます。
1982年代以降生まれの年代をミレニアル世代と言いますが、大半の国・地域において、雇用の機会を検討する上で、ワークライフバランスはキャリアアップより優先されるという2016年の調査結果が出たことで、働く意識・価値観に大きな変化が起きているといえます。
本当のダイバーシティを考える際には、昇進やリーダーになる機会よりも適正なワークライフバランスを求めているという若者の意識変化を柔軟に受け止め、いかにマネジメントしていくかが今後の大切な視点になりうるでしょう。
●パフォーマンスの最大化
人事の目的としては、人と組織のパフォーマンスを最大化することです。賃金管理という面では、社員の成果をどのように管理し評価するのかということが重要でしょう。
従来は集団主義での年功序列、その後は個人主義での成果主義の賃金制度が謳われていましたが、近年では集団でも個人でもない、チームという考え方が生まれています。
社員一人一人の満足度が上がるとともに、チームとしてのパフォーマンスも上がり、それが生産性の向上に繋がると考えられます。
「パフォーマンス・マネジメント」という言葉が最近出ていますが、チーム評価の中ではAIなどのテクノロジーを使って、いかに早くフィードバックしていくかも注目すべき点です。
さらには、人事評価制度をなくそうとする「ノーレイティング」についての議論もあり、人事制度の導入については色々な角度から考えていく必要があります。
また、成果というのは、“努力をした結果、成果が出て幸せになる”、ということではなく、“幸せな職場だから、結果として努力できて成果が出る”、という「幸福優位論」も言われています。
職場の幸福と生産性については弊社でも研究を進めている最中ですが、社員の満足度を高める環境とはどのようなものかという思考からシステムを作っていくことも注目すべき点だと考えています。