つながりを見える化する「ソシオグラム」とは? Vol.2


ハピネス5」は、”ありがとうカード”で信頼や尊敬の念でつながれた良質な人間関係をネットワークとして分析し、組織の状態をみるソシオグラムの作成をオプションとして追加することができます。

組織のあるべき姿は時代により異なります。
経済学的にも、組織は大規模化よりもネットワーク化が求められています。それは、グローバル化・情報化、産業構造のサービス化の進んだ変化の大きい現代社会において競争力を持つためにはイノベーションをいかにして起こすか、が組織の大きな課題になっているからです。

また、高度経済成長期を過ぎた現代社会においては「モノ」は充足され、「いかにして幸福を得るか、幸福になるか」という要素が「はたらく」ということの意義を定めるようになっていきています。
その「なんのために働くか」ということについても、組織のネットワーク化はとても大切な要素です。
人が自発的に責任感をもって「はたらく」ために、人が働く組織というものは信頼によって成り立っていることが大前提だと考えます。

人間関係がコミュニケーションによって繋がれた組織は、フラットで柔軟に、時には組織(管轄や業務の分掌)の壁を越え協働し、個々人のネットワークを通じて資源や人材、情報を動かし、目的(顧客や市場)を基準に判断し、柔軟に学習し変化する、と言われています(社会学者ベイカー、マイルズ、スノー、バート、ノーキらの説を網羅的に紹介)。
その組織が時代の変化に柔軟に対応し、イノベーションを起こし柔軟に変化し続ける土壌があるか、をハピネス5のソシオグラムでは「結束度」という指標で表します。

「結束度」とは

「結束度」は、例えば、「AさんがBにありがとうカードを送り、またBさんがCにカードを送り、さらにCさんがAさんにカードを送っている(逆もまたしかり)」というような”信頼と尊敬のコミュニケーション”が三者の中で循環する場合に「結束度」を1、と診断します。
この結束度が認められた関係は、非常に効率よく情報や感情が循環し、仕事や職場に対する満足度が高くなることでしょう。

もちろん、3人だけで職場の仕事が動いている、というケースあまりありません。同じ業務だけでなく、営業あっての事務であったり、企画あっての営業であったり、総務の仕事あっての経営であったり、仕事は違えど仕事はつながっており、有機的に結合しています。
平均的な組織でのこの結束度は職場全体での「結束度の平均」はおよそ3程度になる、と言われています。

影響度の記事で述べたIT企業の例でも、結束度の高い個人程複雑な顧客要求に対応していた、という調査結果が出ていました。
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1130251)(「データの見えざる手」矢野和男より引用)

この「結束度が高い現場かどうか」は、数値だけでなくソシオグラムからも見て取ることができます。
結束度が高い人(より多くの人とつながりその人たちがさらにつながっているほど)全体のソシオグラムでは中心に配置されます。また、コミュニケーションが頻繁であればあるほど線が濃く映されます。
このソシオグラムの作り方をソシオセントリック・ネットワークといいますが、そのソシオグラムの中で中心であり組織化されている関係の人たちで構成された現場は課題解決能力が高い、と言えるでしょう。

また、ソシオグラムの表し方にはもう一つ、エゴセントリック・ネットワークというものがあります。

これは、先ほどのソシオグラムについての表し方と異なり、「一人をピックアップして、その人が周囲とどのようなコミュニケーションをとっているか」ということを表します。
「線の濃さ」がコミュニケーションの頻度をあらわしていることはソシオセントリックの表し方と同様です。